SPMT 移行の失敗対策!既定の言語を揃えて回避!
Microsoft 365 への移行ツールとして SPMT (SharePoint Migration Tool) が Microsoft から無料で提供され、SPMT 4.1 から SharePoint Server 2019 がサポートされるようになったので検証することにしました。
実は、2024 年 12 月頃に試したときは大きな問題もなく移行ができ、「これはなかなか良いツールなのでは!? 」 と楽しみにしていたところ、2025 年 4 月頃に再度サイト移行を試したところ何度やっても移行が正しく行われない問題が発生。
うまくいった経験があることでなかなか諦めきれず、設定可能なパラメータ設定を網羅してみたり、別の環境を利用してみたり考えられる要因をひとつずつ確認していったもののなかなか解決せず…。最後に残ったのは、まさかの “言語設定”。
今回は、SPMT を使った SPS2019 のサイト移行で直面した移行の失敗事例と、その対策について紹介します。
移行時に起きた問題
SPMT で移行を実行すると、処理自体は最後まで完了しますが、実際に移行先を確認すると次のような状態に…。
- ✅ サイト構造やリスト設計:移行されている
- ✅ アクセス権限:移行されている
- ❌ ライブラリのファイルやフォルダー:移行されない
- ❌ リストのアイテム:移行されない
- ❌ ページ:移行されない
実際の画面がこちら
移行が失敗した原因
最初に疑ったのは 「移行設定」 「権限設定」 「環境のリソース不足」 「特殊文字」などでした。しかし、いろいろなパターンでテストしても問題は解消できず SPMT とのにらめっこ状態に…。たどりついた原因は、以下の 「言語の不一致」 でした。
言語の不一致 ① :用語ストアの既定の言語
- SharePoint Server 2019 側の用語セットの既定の言語:日本語
- Microsoft 365 のテナントの用語ストアの既定の言語:英語
言語の不一致 ② :サイトの既定の言語
- 移行検証していた SharePoint Server 2019 側のサイトの既定の言語:英語
- SPMT により SharePoint Online 側に自動で作成されたサイトの既定の言語:日本語
この 2 つの言語の不一致を解決することで、移行を成功させることができました!!
対策
対策 ①:用語ストアの既定の言語を揃える
まずは、テナントの用語ストアの既定の言語を日本語に変更。用語ストアは既定の言語が変更できるので良いですね♪
対策 ②:移行元と移行先サイトの既定の言語を同じにする
検証したテナントでは、自動で作成されるサイトの既定の言語が「日本語」となっていました。
そのため、移行元サイトが英語など別の言語を既定にしている場合は、SharePoint Online 側に事前に同じ言語でサイトを作成しておく必要があります。
サブサイトが多い場合は少し手間がかかりますが、この事前にサイトを作成しておく方法であれば確実に問題の回避が可能です。
簡潔にいうと、移行元と移行先の既定言語を一致させれば、SPMT の移行は正常に動作するというロジックです。
まとめ
今回の移行エラーの原因は 「言語設定の不一致」 でした。
- 用語ストアの既定の言語
- サイトの既定の言語
この 2 つを揃えることで、SPMT で SharePoint Server 2019 のサイト移行を正常に行うことができます。
ただし、自動で作成されるサイトの既定の言語は各テナントで実際に移行してみないと分からないので、まずはテスト移行を行い、SPMT で自動作成される移行先サイトの既定言語を確認してから本番移行に臨むことをおすすめします。
なお、この問題は Microsoft にも報告済みで、修正くださるようです。
修正版がリリースされるまでは、本記事で紹介した方法での回避が有効です♪
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