Power Automate

Power Automate インスタント フロー再送信の仕様変更 まとめ

  • 2025.08.26

2025 1 月に公開したブログ記事 「Power Automate インスタント フローの再送信ができない」 において、インスタント フローの再送信ができなくなった、という仕様変更をとりあげ、その時点での対処方法として PowerShell によるテナント設定にて有効化する方法をご紹介しました。

その後、翌月の 2025 2 月にさらなる仕様変更が行われ、再送信機能の扱いが再び変更されました。本記事では現在の動作をまとめておこうと思います。

Learn より

参考 :Power Automate でフロー実行を一括でキャンセルまたは再送信する – Power Automate | Microsoft Learn

  • 2025 年 1月 時点
    テナント設定が無効の場合、再送信は完全禁止
  • 現在 (2025 年 2 月以降)
    テナント設定が無効の場合でも、自分が実行したフローであれば再送信可能

変更点 まとめ

2025 2 月より、以下 2 点が変更されました。

① 管理センターから設定できるように

 フロー実行の再送信を有効、無効にするためのテナント設定について、PowerShell での設定だけではなく、管理センターに設定項目が追加されました。PowerShell による設定に比べるというまでもなく設定作業のハードルがやさしくなりました。

  1. Power Platform 管理センターで、[管理] – [テナント設定] を開く
  2. [Power Automate フロー実行の再送信] の設定を 「有効」 もしくは 「無効」 にして保存する

② 制御仕様が変更

2025 1 月の変更では、テナント設定が無効であれば、再送信がまったくできない状態でしたが、2025 2 月のさらなる仕様変更で、無効の場合には自分以外のユーザーによって開始されたフローの再送信ができない形になります。つまり 「自分の実行」 は常に再送信可能ですが、「他のユーザー実行」 はテナント設定次第という仕様になりました。

  • テナント設定 「無効」
    自分が実行したフローは再送信可能、他のユーザーが実行したフローの再送信は不可
  • テナント設定 「有効」
    自分、他のユーザー問わず、再送信が可能
時期 テナント設定「無効」の場合 「有効」の場合
2025 年
1 月時
自分が実行したフロー : 再送信 不可
他のユーザーが実行したフロー : 再送信 不可
自分が実行したフロー : 再送信 可
他のユーザーが実行したフロー : 再送信 可
現在 自分が実行したフロー : 再送信
他のユーザーが実行したフロー : 再送信 不可
自分が実行したフロー : 再送信 可
他のユーザーが実行したフロー : 再送信 可

エラーの場合

テナント設定 無効の場合に、他のユーザーが実行したフローを再送信しようとすると、、
実行ができず 「このフロー実行は他のユーザーによって開始されました。再送信できるのは自分が開始した実行のみです。」 とエラーメッセージが表示されます。

1 月時点で PowerShell で設定変更した場合

2025 年 1 月時点に自分の実行したフローだろうが再送信できないのは不便、ということで、PowerShell を用いて disableFlowRunResubmission = $False と設定し、「有効」 状態に変更した管理者も多かったと思います。私もその一人です。

2025 2 月のアップデート以降も既存の設定は維持され、そのまま 有効の状態が継続します。つまり、自分の実行だけではなく、他のユーザーの実行も送信可能な状態です。

フローの再送信ができるとデバッグや検証がよりスムーズで便利です。ただ、本番テナントでは 「他人の実行を再送信できる」 ことが他人の入力データを再処理してしまうと、意図しない結果や情報漏洩につながるなどセキュリティ リスクにつながってしまうこともフローの内容次第では可能性として考えられます。

管理者はこのリスクも含めて考慮し、特別な必要性がなければ 「無効」 にしておき、自分の実行のみ再送信できる状態のまま運用することも検討してみてください。利便性とセキュリティバランスのトレードオフかと思いますので、運用に合わせて最適な設定を選択したいですね。

####
テナント単位だけじゃなく、環境ごとに設定できたらいいのにな・・・開発目的の環境は利便性優先、本番環境はセキュリティ優先で設定を変えよう、ってことができるのにな

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